多くの歯科医院ホームページで、「インプラントの成功率は99%以上」などと書かれていることがありますが、「成功」とはどのような状態を言うのでしょうか。
もちろん「成功」というのは、インプラントと骨がしっかりと結合し、痛みやぐらつきを感じることなく問題なく噛める状態のことを言いますが、どの段階で「問題のない状態」であるかによっても成功率は異なります。
また、状態の良い患者さんばかりを施術するケースの成功率と、難しい症例も多く手掛ける場合の成功率では意味が異なって来ます。
「成功率**%」をうたっている場合は、どういった条件での成功率かを確認してみるのも良いでしょう。
インプラント手術後、骨と結合するのを確認してから人工歯(上部構造)を取りつけて治療が終了しますが、「骨と結合するかどうか」の定着率・骨結合率を「成功率」と言う場合があります。
定着率(骨結合率)については、インプラント自体の質の向上に伴って高くなっているようで、多くの歯科医院で 95%〜99% の定着率の実績があるとしています。
喫煙の習慣がある方は、非喫煙者と比べて10%程度定着率が落ちると言われています。
特に、インプラント手術をおこなう前後1〜2カ月間の喫煙は非常にリスクが高く、禁煙が施術の条件としてあげられることもあります。
インプラントが骨と結合した後、数年が経過してもトラブルなく維持されている状態を「成功」ととらえ、どのくらいの成功率かの調査報告があります。
スウェーデンのアデル教授が1990年に発表した報告によれば、
という、非常に高い成功率が見込めるようです。
もちろん、治療後のメインテナンスの状態や、患者さんの状態(骨の状態や治療本数、部位、体質など)、また手術を担当する歯科医師の治療技術などにもよりますので、成功率が高い治療だからと安心せず、より長く使用できるようにケアを継続することが大切です。
「成功率」の項目で、骨と結合したインプラントが15年持続した割合が約8割という研究報告があったことをご紹介しましたが、大きな問題が起きない限りは長期の使用に耐えられると言われています。
現在主流となっているチタン製デンタルインプラントの父と言われるブローネマルク教授が初めてインプラント手術をおこなった患者さんは、寿命を全うするまで40年以上問題なくインプラントを使っていたそうです。
しかしながら、ブリッジや入れ歯についても同じことが言えますが、一度治療を受ければインプラントを永久的に使用できる、というわけではありません。トラブルが生じてインプラントが脱落したり、治療のために除去を余儀なくされることもあります。
インプラントが骨と結合した後に起こる大きなトラブルとして挙げられるのは、歯周病の原因菌と同じ細菌が引き起こす感染症・インプラント周囲炎です。歯周病のように強い炎症が起こり、インプラントの周りの骨が吸収されて最後にはインプラントが脱落してしまいます。インプラント周囲炎に感染すると、歯周病に感染した天然の歯よりも進行が早く、歯周病よりも治療が困難と言われています。天然の歯以上に毎日のケアをおこない、歯科医院で定期チェックやメインテナンスを受けて、予防に努めましょう。