インプラント治療の失敗の原因として歯科医師が一番に挙げるのは、「術前の検査や診断が不十分で、適切な治療を行うことができなかったこと」です。
たくさん検査を行うのが良い歯科医院ということではなく、必要な検査を適切に行い、検査結果から正しい診断を行えることが重要であるということかと思いますが、一方では、様々な検査を行うことで失敗のリスクを軽減することができるとも考えられています。
特定の検査を行っているかどうかだけでその歯科医院の治療の良し悪しを判断することはおすすめできません。診断に納得できない場合は、セカンドオピニオン制度を利用してみるのも解決法のひとつです。
検査方法は、歯科医院により異なります。実施している検査数で優劣が決まるものではありませんので、ご注意ください。また、全ての検査が必ず必要というわけではなく、一部の検査を実施していなくても安全なインプラント治療を行っている歯科医院も多数あります。
どんな目的でどのような検査が行われるのかを知っておき、不安なことや疑問があれば小さなことでも先生に質問すると良いでしょう。納得できる回答をくれる歯医者さんが、あなたにとって一番良い歯医者さんです。
口の中を直接診察し、歯や歯肉の状態を確認します。
虫歯や歯周病の症状が見られる場合は、先に治療を行います。
一般的な歯科治療で用いられるレントゲンで、歯や顎の骨の状態を平面的に確認します。骨の厚みや高さ、歯の根の状態、神経や血管の位置などを把握することができます。
鼻から下あごまでの全体像を1枚で撮影するパノラマレントゲンと、2〜3歯ずつ細分して撮影するデンタルレントゲンの二種類があり、歯科医院によっていずれかを用います。
レントゲン検査により、明らかに骨の厚みが充分で問題がないと診断できれば、CT撮影を必要としない場合もあります。
治療前の歯並び・咬み合わせの状態を記録します。
治療前のお口の状態を記録します。
また、治療過程の記録のために、治療の段階ごとに撮影を行うことがあります。
歯やあごの骨、歯周組織を三次元的に把握することができます。
また、撮影した画像をコンピューターに取り込み、3次元画像処理ソフトでインプラント手術のシミュレーションを行っている歯科医院もあります。
CT検査を行うことで診断の精度が上がりますが、骨の状態が良いことが明確で、難易度が低いケースではCT検査を必要としないこともあります。
インプラント治療において、咬み合わせは非常に重要です。咬合検査を行うことで、
せっかくインプラントを入れても、咬み合わせが悪くてインプラントに過度な負担がかかるようでは、脱落やインプラント周囲炎などのトラブルの原因となります。
唾液に含まれる細菌の種類や数から、虫歯や歯周病のなりやすさをチェックします。
特に歯周病の原因菌は、インプラント周囲炎の原因にもなりますので、歯周病になりやすい方はインプラント周囲炎のリスクが高くなります。
日本人の成人の8割は、何らかの歯周病の症状が見られると言われています。
歯周病の状態を把握するために、プロービングで歯周ポケットの深さを測定します。
糖尿病や血液疾患など全身疾患の症状がある方は、インプラント治療が適さないことがあります。
また、血が止まりにくい方は手術を行うことができませんので、採血検査でチェックを行います。
インプラントに使用されている金属・チタンは生体親和性が高く、アレルギーを起こさないと考えられていましたが、最近では、チタンのアレルギーをお持ちの方が増えているようです。これは、チタン製の製品が普及し、日常的にチタンに触れる機会が多くなったためと考えられています。
金属アレルギーが心配な方は、事前にアレルギー検査を受けられることをおすすめします。